資源としての卵子・受精卵・胎児
ー狙われる女のからだー
卵子や受精卵、そして中絶胎児が研究の「材料」として採取されようとしています。
主に再生医療研究のためです。政府の審議会は提供者として
「体外受精を受ける女性」「婦人科手術を受ける女性」、
そして「人工妊娠中絶を考えている女性」をあげ提供の手続きを検討していますが、
それは現実の婦人科医療における女性の気持ちや置かれた状況と乖離したものです。
どのような説明が行なわれているかなどの調査もしていません。
今回のシンポジウムは現在の婦人科医療の実態を明らかにし、
そのうえで女性のからだが資源化されていくことの問題性、胎児利用も含めて
「いま起きていることの意味」を皆さんと共に考えていきたいと思います。
2004年12月12日(日)13:30〜16:45
中野区勤労福祉会館 3F大会議室
(中野区中野2-13-14 TEL 03-3380-6941 JR中央線・東京メトロ東西線「中野駅」南口、徒歩5分)
資料代:1000円 *申し込み不要。当日直接お越しください。
第1部 基調報告
「卵子・受精卵・中絶胎児が研究 “材料”となる日 〜政府委員会の審議とその問題点」
鈴木良子(フリー編集者/フィンレージの会)
コメンテーター:江原由美子(大学教員)
第2部 パネルディスカッション「女の医療の現場から」
清水きよみ(不妊に悩む人のための自助グループ「フィンレージの会」会員)
佐藤(佐久間)りか(子宮筋腫・内膜症体験者の会「たんぽぽ」運営スタッフ)
小西熱子(富士見産婦人科病院被害者同盟・代表)
丸本百合子(産婦人科医師)
江原由美子(大学教員)
▼共催▼
女のからだと医療を考える会/からだと性の法律をつくる女の会
SOSHIREN女(わたし)のからだから/フィンレージの会/ふぇみん
▼連絡先・お問合せ▼
SOSHIREN女(わたし)のからだから TEL/FAX 03-3353-4474 メールrepro1212@soshiren.org
******************
「狙われる女のからだ」ってどういうこと?
〜シンポジウム開催の背景〜
2004年夏、総合科学技術会議・生命倫理専門調査会が、不妊治療および再生医療の進展を目的に、ヒト胚や人クローン胚を用いた研究にGOサインを出しました。「ヒトクローン胚の作成を容認!」と新聞などでも大々的に報道された調査会です。
ヒト胚(受精卵)研究では、体外受精を受ける女性たちから余剰胚を提供してもらうとしています。さらにヒトクローン胚は作成のために卵子が必要ですが、調査会は体外受精を受ける女性から提供してもらうだけでなく、卵巣手術を受ける女性から卵巣組織や卵巣そのものを提供してもらう、としています。
一方、厚生科学審議会科学技術部会「ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会」も、再生医療研究を目的に、女性たちから中絶胎児を提供してもらおうとしています。
どちらの委員会も、現在の婦人科医療の現場にある女性に対して、その立場や気持ち、また、どのような説明が行なわれているのか、まったく実態調査をしていません。「まだ動物実験の段階」「再生医療に真実つながるかどうか不明」と指摘する科学系委員もいますが、推進派委員は「人間で研究をする必要がある」と主張します。中には「卵子や卵巣の入手先として、再生医療を待ち望む患者さんの家族(妻、姉妹、娘)もある」と発言した委員もいます。
今後は、不妊治療を受けるとき「使わない胚や卵を研究に使っていいですか」と聞かれるのでしょうか。子宮や卵巣の疾患で手術を受けるとき「よぶんに切ってもいいですか」と聞かれるのでしょうか。人工妊娠中絶を受けるとき「医学の発展のためです。胎児を使わせてください」と聞かれるのでしょうか。
中絶胎児の研究利用は是か非かという議論の中では、母体保護法の改定までが提案されています。このままでは、産婦人科における治療や人工妊娠中絶のあり方が医学研究のために変わってしまったり、卵子や卵巣、胎児が“資源”となっていくのではないか、女性はその気持ちはもちろん、人権すらないがしろにされたまま、それらの“生産工場”とみなされていくのではないかという心配があります。
今回のシンポジウムは、こうした政府・研究界の動きを知り、多くの女性たちと問題を共有していくのが第一の目的です。
シンポジウム「資源としての卵子・受精卵・胎児−狙われる女のからだ−」主催グループ要望書
|