「アジア太平洋人口会議に向けての要望書」
(外務大臣宛のほかに、厚生労働大臣と内閣官房長官/男女共同参画担当大臣に宛て出しました。)
要望書
平成14年11月25日
外務大臣 川口 順子 殿
NGO有志一同
第5回アジア太平洋人口会議における日本政府代表の【基本方針】に関する件
日本のリプロダクティブ・ヘルスおよび人口分野で活動を続けているNGO有志一同は、2002年12月11日から17日にタイ・バンコクで開催される第5回アジア太平洋人口会議 (The Fifth Asian and Pacific Population Conference: APPC)に出席する日本政府代表団に対し、以下のことを要望致します。
日本政府は、
1. 1994年の国際人口・開発会議(エジプト・カイロ)で日本を含む179ヶ国が合意した「カイロ行動計画」を遵守し、リプロダクティブ・ヘルス/ライツを基本理念として、その実現に向け、引き続き諸政策を推進することを明確に表明すること。
2. リプロダクティブ・ヘルス/人口分野における日本の途上国援助および国際機関への拠出を減らさないこと、また日本の国際援助は、「カイロ行動計画」に沿って推進されることを明確に表明すること。
要望理由:
日本政府は、「カイロ行動計画」(以下行動計画と略す)の成立にあたって重要な役割を担い、その後もリプロダクティブ・ヘルス/人口分野の援助に率先して取り組んできたと理解しております。日本が国際機関および途上国にとって重要なドナー国であり、当該分野におけるGO/NGO連携に務めていることは、国内外で高い評価を得ており、私たちNGOはそのことを誇りに思います。行動計画の後退が危ぶまれる今、こうした実績を持つ日本国として、日本政府が行動計画の理念をさらに推進するために国際的なリーダーシップを発揮することを期待致します。
カイロ会議では、統計(数)中心の人口政策から、カップルや個人の健康と生活向上を重視する視点へとパラダイム転換が行われました。リプロダクティブ・ヘルス/ライツをキーワードとする行動計画は、すべてのカップルと個人が、生涯を通して性と生殖に関する健康を享受し、いつ何人子どもを産むか産まないかを選択することを基本的人権として初めて位置づけました。それに合意した国々には、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの実現とリプロダクティブ・ヘルス・サービスの充実が人口問題の解決につながるとの共通認識がありました。行動計画は、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの実現に対する国の責任にも言及しています。
日本の指導的役割を世界にさらにアピールするためにも、日本政府が確固たる姿勢で、国際的な合意文書である行動計画の遵守を表明することを強く要望致します。
取りまとめ団体(50音順)
財団法人 家族計画国際協力財団
女性と健康ネットワーク
人口問題協議会
社団法人 日本家族計画協会
なお、賛同団体名簿は別紙に添付致します。
賛 同 団 体 名 簿
財団法人 アジア女性交流・研究フォーラム |
財団法人 アジア人口・開発協会 |
特定非営利活動法人 アムダ |
ウィメンズカウンセリング徳島 |
特定非営利活動法人 ウィメンズサポートセンターにいがた |
FGM廃絶を支援する女たちの会 |
女のからだと医療を考える会 |
からだと性の法律をつくる女の会 |
北九州リプロダクティブ・ヘルス/ライツ研究会 |
ぐるうぷ:NO!セクシュアル・ハラスメント |
国際女性の地位協会 |
さっぽろ女性会議 |
特定非営利活動法人 シーン |
特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会 |
JAWW(日本女性監視機構) |
NPO法人 女性と子どものエンパワメント関西 |
女性への暴力根絶をめざす徳島ネットワーク |
性と健康を考える女性専門家の会 |
「性を語る会」 |
世界女性会議ネットワーク関西 |
全国女性シェルター・ネット |
SOSHIREN
女のからだから |
ドリームウイメンズセンター名古屋 |
特定非営利活動法人 2050 |
社団法人 日本看護協会 |
財団法人 日本寄生虫予防会 |
日本女医会北海道支部 |
社団法人 日本助産師会 |
日本女性学会 |
日本婦人会議 |
社団法人 日本臨床衛生検査技師会 |
婦人国際平和自由連盟日本支部 |
婦人民主クラブ |
北京JAC |
北京JAC九州・山口・沖縄 |
Health
and Development Service (HANDS) |
Marie
Stopes International (MSI) |
メンタルサービスセンター |
財団法人 予防医学事業中央会 |
レインボウ・ネットワーク |
(50音順)
(注、追記)要望書提出後の情勢
アジア太平洋人口会議では、米国の主張は圧倒的多数で却下され、カイロ行動計画の理念は遵守された。しかし、ブッシュ政権の基本姿勢は変わらず、火種は依然くすぶっている。