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 重度障害児者に関する発言の撤回と謝罪を求めます

東京都知事 石原慎太郎殿

 9月18日の朝日新聞によれば、石原知事は9月17日府中療育センターを視察し、その感想として「ああいう人ってのは人格あるのかね」と言われたそうです。さらに、重度障害児者に安楽死を示唆するとも取れる発言をされました。
 この報道に接し、あまりのことに怒りの言葉もすぐには見つかりませんでした。障害児者に人格があるかどうか、誰かに尋ねないと分からないのですか?人権も当然あるということも、おそらく、ご存じないのでしょう。
 「安楽死させろと言っているんじゃない」と言われますが、障害と「安楽死」を関連づけられるだけで、障害をもつ本人と身近な人たちがどれほどの恐怖と怒りを覚えるか、その想像すらできないのでしょうか。このような方を都知事に選んでしまったとは、今更ながら都民の一人として恥じるばかりです。

 知事は、優生保護法という法律があったことをご存じですか。障害者を「不良な子孫」と見なして、「その出生を防止する」ことを目的としていました。こうした優生政策は、女性の生殖を支配することで行われ、障害者と女性、両方の人権を侵害してきました。私たちは女性の立場から、この法律をなくすために活動してきたグループです。運動の結果、1996年に優生保護法は改正され、優生思想を現す条文は削除されました。しかし、長いあいだ人の意識の中に培われた優生思想は容易になくならない・・・。知事の発言は、まさにそのことを痛感させました。

 人は生まれるときにも成長の過程でも、病気や事故そして老いによっても、障害をもち得ます。どのような障害を得ても、差別を受けることなく人格と人権を尊重され、生きられる保障を確立されることが私たちの希望です。そして知事の仕事ではありませんか。  知事の発言は、障害者・家族・施設職員をはじめとして共に生きる人々の心と人権を深く傷つけました。また、これから子どもが生まれるかもしれない人々に無用な不安をいだかせ、障害者への誤った偏見を助長し、福祉の後退を正当化するおそれがあるのです。
 石原知事はただちにこの発言を撤回し、謝罪してください。そして、障害者への偏見をなくす政策に、積極的に取り組んでくださるよう求めます。

1999年9月20日
  東京都新宿区富久町8−27ニューライフ新宿東305
電話・FAX 03−3353−4474
              SOSHIREN女(わたし)のからだから