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死亡胎児の利用についての意見書

厚生科学審議会科学技術部会
ヒト幹細胞を用いた臨床研究のあり方に関する専門委員会 御中


 貴委員会は、死亡した胎児の利用についてヒト幹細胞臨床研究の指針案に盛り込む方向で進んでいると聞きます。しかし、この問題について、審議が十分に尽くされているとは思えません。このまま指針案がまとめられることには、反対です。
  1. 死亡した胎児の臨床研究利用がすでに行われているのは事実ですが、その実態は把握されているのでしょうか。一言で「死亡胎児」といっても、人工妊娠中絶、流産、死産など、原因はさまざまです。すでに行われている利用は、どの場合にどのような手続きを経ているのでしょうか。提供しているのは誰か−−妊娠していた女性本人なのか別な人なのか、インフォームド・コンセントは行われているのかなど、まずは実態を把握するべきでしょう。

  2. ヒトの人体の利用自体、まだ社会的合意に至っているとは言えません。胎児の利用には、いっそうの社会的な議論が必要です。胎児という存在をどう位置づけるのか、本人の意志確認が不可能であることをどう考えるのか、誰が提供者となるのか。これらについて、答えられるだけの議論を、委員会はしているのでしょうか。すでに行われていることを前提に、それを認めるための審議をするだけでは、貴委員会が存在する意味がありません。

  3. 胎児の死亡理由がどの場合であっても、女性にとって心身に大きな負担があることは、言うまでもありません。仮に利用を認め、女性本人が提供者となるのであっても、女性がおかれた状況に配慮し、その負担を増すことの無いよう、慎重に検討されなければなりません。

  4. 一つの研究の承認が、新しい問題を引き起こす場合もあります。例えば、胎児の利用を目的とした妊娠と中絶が行われる可能性、そのために女性の身体が利用される可能性も、指摘されています。そのことについて、委員会は充分な認識をもって審議しているのでしょうか。仮に死亡した胎児の利用を認めるとしても、新たに起こり得る問題を検討し、そうしたことを引き起こすことが無いよう、行う上での条件を規定すべきです。
 死亡した胎児の臨床研究利用について、時間をかけた慎重な議論が行われるよう要望します。指針案作成の前に、実態を把握するための調査、一般市民にその情報公開・意見聴取を先に行ってください。

2002年12月24日
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