―ソシレンもパブコメを送りました―
「メフィーゴパック」の医薬品製造販売承認等 に関する意見 厚生労働省宛
提出日:2023年2月23日
差出人:「SOSHIREN女(わたし)のからだから」
■国際標準の使用・管理方法で「メフィーゴパック」の承認を
経口中絶薬「メフィーゴパック」は、医薬品医療機器総合機構で有効性、安全性が確認されました。厚生労働省はすみやかに「メフィーゴパック」を承認してください。
いま日本で行われている中絶は、手術が主流です。なかでも掻爬(ソウハ)法は手術を受ける当事者には心身共に負担の大きいものです。
一方、WHO(世界保健機関)やFIGO(国際産婦人科連合)は、中絶を一般的に行われる保健医療上の処置として位置づけ、当事者(患者)の権利、尊厳を重視しています。そして薬剤による中絶が、効果的で安全、安価であることを確認し、自分で服用管理ができることを、当事者の主体性の尊重、プライバシーの保護、利便性、満足度といった点から高く評価しています。すでに、経口中絶薬は世界93以上の国または地域で使われ、WHOの必須医薬品リストにも入っています。
「メフィーゴパック」(ミフェプリストンとミソプロストールを順次投与)は、WHO『ガイドライン 2022』が、妊娠 12 週未満の者に対する中絶方法として推奨しており、国際標準の使用・管理方法で日本でも使えるようにしてください。
■使用制限によって6割の当事者が選択できない
【製造販売後の管理方法について(案)】に示された使用制限、厳重管理は、国際的な標準からかけ離れ、中絶へのアクセスを困難にする内容です。現在、初期中絶の約6割は無床診療所で行われていますが*、中絶薬が有床施設に限定されると、中絶を希望する当事者の約6割がスタートラインで薬剤による中絶を選択できないということになります。また、無床診療所で、中絶薬がいつから使用できるようになるのかが不明です。「十分な使用経験が蓄積」「適切な使用体制が整う」は、誰がどのように判断するのかも不明です。
医薬品医療機器総合機構は、外来での使用であっても問題ないと報告しています。入院が必要となれば、従来の外科的手術に比べて拘束時間が長くなります。しかも、必要以上に管理が強められて費用が従来と同じであれば、薬剤による中絶を選択できない当事者はさらに増えます。
日本産婦人科医会との協議の内容、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会での議論を開示してください。当事者を含むステークホルダー(利害関係者)を集めた公開の審議を求めます。
また、「メフィーゴパック」の使用は妊娠63日以下の者となっていますが、最新の国際標準12週未満に合わせてください。
■中絶に関する法制度の抜本的見直しを求めます
コロナ下、FIGOは「遠隔医療による人工妊娠中絶の恒久的な導入を支持する」声明(2021年3月18日)を出しました。ここで言う遠隔医療の意味は、医療従事者(保健師・助産師も含む)によるオンラインの相談、当事者への薬剤の直送、自己管理による服用です。しかし、今回の案は、「母体保護法指定医師による確認の下で行う」「『プレグランディン膣座薬』と同等の厳格さをもって記録・管理する」としており、この声明とは方向が全く逆です。
なぜ、そうなるのでしょうか。日本には、刑法堕胎罪が中絶を犯罪として懲罰の対象にし、その上で、母体保護法が堕胎罪に抵触しない中絶の要件を決めています。2法に基づいて、中絶の可否を認定し実施できるのは母体保護法指定医師のみです。さらに、母体保護法では中絶に配偶者の同意が必要とされています。これらによって現実に生きている当事者の中絶へのアクセスは制限され、権利は守られていません。また、中絶が保険外診療であることから、諸外国に比べて高額となることが予想されます。
国際標準の使用方法を日本で可能とし、当事者の状況にあわせた適正な費用負担に改善するためには、刑法堕胎罪、母体保護法を見直し、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツを保障するための法制度が必要です。
■セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの保障を
私たちは、自分の人生に関わる重大な決定の一つである、産む・産まないの選択権は、自分のからだ、自分の人生の主体である当事者にあると考えます。日本政府は、国連女性差別撤廃委員会から、刑法堕胎罪と母体保護法の配偶者同意を見直すよう勧告を受けています。WHOも中絶の完全な非犯罪化を推奨しています。
経口中絶薬の承認を機会に、以下の2点を強く求めます。
- 日本においても、妊娠した当事者の産む・産まないの選択を尊重し、産まない選択をした人が自分にとって最善な中絶方法を選び、その方法にアクセスしやすくすること。
- 刑法堕胎罪、母体保護法を撤廃して、当事者のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)を包括的に保障すること。
*2022年3月19日「令和3年度家族計画・母体保護法指導者講習会伝達講習会(母体保護法指定医師研修会)」資料から
(以上)
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