(医師の認定による優生手術) |
第三条 |
医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人の同意並びに配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、優生手術を行うことができる。但し、未成年者、精神病者又は精神薄弱者については、この限りでない。
- 一
- 本人若しくは配偶者が遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患若しくは遺伝性奇形を有し、又は配偶者が精神病若しくは精神薄弱を有しているもの
- 二
- 本人又は配偶者の四親等以内の血族関係にある者が、遺伝性精神病、遺伝性精神薄弱、遺伝性精神病質、遺伝性身体疾患又は遺伝性畸形を有しているもの
- 三
- 本人又は配偶者が、癩疾患に罹り、且つ子孫にこれが伝染する虞れのあるもの
- 四
- 妊娠又は分娩が、母体の生命に危険を及ぼす虞れのあるもの
- 五
- 現に数人の子を有し、且つ、分娩ごとに、母体の健康度を著しく低下する虞れのあるもの
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2 |
前項第四号及び第五号に掲げる場合には、その配偶者についても同項の規定による優生手術を行うことができる。
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3 |
第一項の同意は、配偶者が知れないとき又はその意思を表示することができないときは本人の同意だけで足りる。
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(審査を要件とする優生手術の申請) |
第四条 |
医師は、診断の結果、別表に掲げる疾患に罹つていることを確認した場合において、その者に対し、その疾患の遺伝を防止するため優生手術を行うことが公益上必要であると認めるときは、都道府県優生保護審査会に優生手術を行うことの適否に関する審査を申請しなければならない。
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(優生手術の審査) |
第五条 |
都道府県優生保護審査会は、前条の規定による申請を受けたときは、優生手術を受くべき者にその旨を通知するとともに、同条に規定する要件を具えているかどうかを審査の上、優生手術を行うことの適否を決定して、その結果を、申請者及び優生手術を受くべき者に通知する。
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2 |
都道府県優生保護審査会は、優生手術を行うことが適当である旨の決定をしたときは、申請者及び関係者の意見をきいて、その手術を行うべき医師を指定し、申請者、優生手術を受くべき者及び当該医師に、これを通知する。
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(再審査の申請)
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第六条 |
前条第一項の規定によつて、優生手術を受くべき旨の決定を受けた者は、その決定に異議があるときは、同条同項の通知を受けた日から二週間以内に、公衆衛生審議会に対して、その再審査を申請することができる。
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2 |
前項の優生手術を受くべき旨の決定を受けた者の配偶者、親権者、後見人又は保佐人もまた、その再審査を申請することができる。
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3 |
前二項の規定による再審査の申請は、優生手術を受くべき旨の決定をした都道府県優生保護審査会を経由して行わなければならない。この場合において、都道府県優生保護審査会は、必要な意見を附さなければならない。
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(優生手術の再審査)
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第七条 |
公衆衛生審議会は、前条の規定による再審査の請求を受けたときは、その旨を、手術を行うべき医師に通知するとともに、審査の上、改めて、優生手術を行うことの適否を決定して、その結果を、再審査の申請者、優生手術を受くべき者、都道府県優生保護審査会及び手術を行うべき医師に通知する。
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(審査に関する意見の申述)
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第八条 |
第四条の規定による申請者、優生手術を受くべき者及びその配偶者、親権者、後見人又は保佐人は、書面又は口頭で、都道府県優生保護審査会又は公衆衛生審議会に対し、第五条第一項の審査又は前条の再審査に関して、事実又は意見を述べることができる。
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(訴の提起)
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第九条 |
公衆衛生審議会の決定に対して不服のある者は、その取消しの訴を提起することができる。
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(争訟の方式)
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第九条の二 |
第五条第一項の規定による優生手術を受くべき旨の決定に不服がある者は、第六条及び前条の規定によることによつてのみ争うことができる。
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(優生手術の実施)
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第十条 |
優生手術を行うことが適当である旨の決定に異議がないとき又はその決定若しくはこれに関する判決が確定したときは、第五条第二項の医師が、優生手術を行う。
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(費用の負担)
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第十一条 |
前条の規定によつて行なう優生手術に関する費用は、政令の定めるところにより、当該都道府県の支弁とする。
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2 |
前項の費用は、国庫の負担とする。
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(精神病者等に対する優生手術)
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第十二条 |
医師は、別表第一号又は第二号に掲げる遺伝性のもの以外の精神病又は精神薄弱に罹つている者について、精神保健法(昭和二十五年法律第百二十三号)第二十条(後見人、配偶者、親権を行う者又は扶養義務者が保護義務者となる場合)又は同法第二十一条(市町村長が保護義務者となる場合)に規定する保護義務者の同意があつた場合には、都道府県優生保護審査会に優生手術を行うことの適否に関する審査を申請することができる。
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第十三条
| 都道府県優生保護審査会は、前条の規定による申請を受けたときは、本人が同条に規定する精神病又は精神薄弱に罹つているかどうか及び優生手術を行うことが本人保護のために必要であるかどうかを審査の上、優生手術を行うことの適否を決定して、その結果を、申請者及び前条の同意者に通知する。
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2 |
医師は、前項の規定により優生手術を行うことが適当である旨の決定があつたときは、優生手術を行うことができる。
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(優生保護相談所)
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第二十条 |
優生保護の見地から結婚の相談に応じ遺伝その他優生保護上必要な知識の普及向上を図るとともに、受胎調節に関する適正な方法の普及指導をするため、優生保護相談所を設置する。
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(設置)
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第二十一条 |
都道府県及び保健所を設置する市は、優生保護相談所を設置しなければならない。
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2 |
前項の優生保護相談所は、保健所に附置することができる。
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3 |
国は、第一項の優生保護相談所の設置及び運営に要する費用について、政令の定めるところにより、その経費の一部を補助することができる。
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(設置の認可)
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第二十二条 |
国、都道府県及び保健所を設置する市以外の者は、優生保護相談所を設置しようとするときは、厚生大臣の認可を得なければならない。
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2 |
前項の優生保護相談所は、厚生大臣の定める基準によつて医師をおき、検査その他に必要な設備をそなえなければならない。
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3 |
厚生大臣は、第一項の優生保護相談所が前項の基準に該当しなくなつたときは、その認可を取り消すことができる。この場合においては、厚生大臣は、優生保護相談所の設置者に釈明の機会を与えるため、職員をして当該設置者について聴聞を行わせなければならない。
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(名称の独占)
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第二十三条 |
この法律による優生保護相談所でなければ、その名称中に、優生保護相談所という文字又はこれに類似する文字を用いてはならない。
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(委任事項)
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第二十四条 |
この法律で定めるものの外、優生保護相談所に関して必要な事項は、命令でこれを定める。
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(施行期日)
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第三十五条 |
この法律は、公布の日から起算して六十日を経過した日(昭和23年9月11日)から、これを施行する。
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(関係法律の廃止)
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第三十六条 |
国民優生法(昭和十五年法律第百七号)は、これを廃止する。
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(罰則規定の効力の存続)
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第三十七条 |
この法律施行前になした違反行為に対する罰則の適用については、前条の法律は、この法律施行後も、なおその効力を有する。
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(届出の特例)
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第三十八条 |
第二十五条の規定は、昭和二十一年厚生省令第四十二号(死産の届出に関する規程)の規定による届出をした場合は、その範囲内で、これを適用しない。
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(受胎調節指導のために必要な医薬品)
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第三十九条 |
第十五条第一項の規定により都道府県知事の指定を受けた者は、平成七年七月三十一日までを限り、その実地指導を受ける者に対しては、受胎調節のために必要な医薬品で厚生大臣が指定するものに限り、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二十四条第一項の規定にかかわらず、販売することができる。
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2
| 都道府県知事は、第十五条第一項の規定により都道府県知事の指定を受けた者が次の各号の一に該当したときは、同条同項の指定を取り消すことができる。
- 一
- 前項の規定により厚生大臣が指定する医薬品につき薬事法第四十三条の規定の適用がある場合において、同条の規定による検定に合格しない当該医薬品を販売したとき
- 二
- 前項の規定により厚生大臣が指定する医薬品以外の医薬品を業として販売したとき
- 三
- 前各号の外、受胎調節の実地指導を受ける者以外の者に対して、医薬品を業として販売したとき
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3
| 都道府県知事は、前項に規定する処分をしようとするときは、処分の事由並びに聴聞の期日及び場所を、期日の一週間前までに当該処分を受ける者に通知し、かつ、その者又はその代理人の出頭を求めて聴聞を行わなければならない。ただし、都道府県知事は、当該処分を受ける者又は代理人が正当な理由がなくて聴聞に応じなかつたときは、聴聞を行わないで前項に規定する処分をすることができる。
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